静かな生活

本、音楽、その他諸々の生活記録。同性年下の恋人あり。

「LOVE」 菅田将暉

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私が『まちがいさがし』に出会ったのは、去年の大晦日紅白歌合戦でのことだ。

流し見していたところ、白に近い金髪を逆立て、だらっとした大きめのニットを着た菅田くんが登場した。

 

俳優が歌うことに偏見があった(今でもある)私は、「これ私服なんかな?」と余計なことを考えていたし、ちゃんと聴く気もなかったように記憶している。

 

そんな私の隙きを突くように、菅田くんは力強く歌った。

 

度肝を抜かれたと言っても過言ではない。

なんだこれ。

めっちゃいい歌じゃないか。

歌詞もグサグサと刺さる。

 

実を言えば、この曲が使われていたドラマを私は見ていた。

ということは、毎週この曲を聴いていたのだ。

にも関わらず、その瞬間までこんな名曲だったとは気づきもしなかった。

完全に感性が鈍っている。

 

この曲をつくった米津さんが自身のアルバムでカバーされているのを聴いたけれど、菅田くんの時のような感動はなかった。

米津さんは抜群に上手い。

声にのせた感情が非常に細やかで、聴くたびにうまいなぁ、と感じる。

 

けれどもこの曲に限っては、菅田くんのてらいのない愚直なまでのまっすぐさが私の心に響いたのだ。

 

まちがいさがし』がとても良かったので、アルバムも聴いてみた。

その中で『まちがいさがし』に負けず劣らず気に入ったのが『7.1oz』。

 

“oz(オンス)”とは重さの単位で、歌詞に出てくるTシャツであれば7.1ozのものはかなり分厚めの生地らしい。

 

この歌のすごいところは、その“みみっちさ”である。

こんな“みみっちい”感情を歌ったラブソングを私は他に知らない。

要は、付き合っている彼女が自分に遠慮しているので寂しい、ということらしい。

自分をTシャツに例えて汚れていたら遠慮なく洗ってくれーー!と訴える、ただそれだけの歌である。

 

けれどもこの“みみっちさ”が妙に心を打つのだ。

 

この曲は『忘れらんねえよ』とバンドの柴田から提供されたとのこと。

この曲に限らず、菅田くんは誰かに曲を作ってもらうとき、自分が提供者のファンでその音楽性が好きというのを前提にしているのか、どれもすごく楽しそうだ。

 

それがほかの俳優の歌手活動と一線を画している理由なのかもしれない。