静かな生活

本、音楽、その他諸々の生活記録。同性年下の恋人あり。

「メインテーマは殺人」 アンソニー・ホロヴィッツ

同じ作者の『カササギ事件』がおもしろかったので図書館で予約したのはいいが、忘れた頃にようやく順番が回ってきた。 最寄りの図書館は長期休館に入る前は通常より貸出期間が長くなる。 そこでこの本以外にも数冊まとめて借りてきた。 まずはそちらを片付け…

「ノッキンオン・ロックドドア 1&2」 青崎有吾

行きつけの本屋さんでおすすめされていた1冊。 偶然図書館で見かけたので、借りてみた。 ドアノブのない、つまり来客は絶対にその扉をノックすることになる探偵事務所『ノッキンオン・ロックドドア』。 そこには探偵がふたり。 事件の真相を動機や理由から…

「直筆の漱石 発見された文豪のお宝」 川島幸希

大型書店の作家論コーナーに行くと、夏目漱石関連本の多さに毎度驚く。 それほどまでに漱石は愛されている。 何を隠そう私もそのひとり。 どのくらい好きかというと、新潮文庫で集めていたのに、注釈などが充実している岩波文庫に買い換えるぐらいだ。 なか…

「法廷遊戯」 五十嵐律人

書評で褒められていたので読んでみたこの『法廷遊戯』。 なんていうか、うん、微妙。 ミステリ小説の肝であるトリックがどーのこーのではない。 なんていうか登場人物が全員うすっぺらいのだ。 能力高めの主人公、幼馴染で影のある美少女ヒロイン、そして主…

「かがみの孤城」 辻村深月

発売されたのが2017年の7月なので3年以上経って、ようやく読むことができた本書。 図書館に入ってきた当時は予約待ちが100人以上出ていた。 私の近所の図書館では10冊までしか予約ができない(そしてその枠はいつも目一杯使っている)ので、その時は諦めたが…

「靴ひも」 ドメニコ・スタルノーネ

久しぶりのイタリアの小説。 ウンベルト・エーコー以来かもしれない。 この小説は3章で構成されていて、それぞれ語り手が異なる。 1つの家族の歴史というか変遷なのだけれど、1章は怒りや悲しみが嵐のように吹き荒れているので、読んでいて気が滅入ってく…

「猫を棄てる」 村上春樹

本屋さんでこの本を見かけたときには驚いた。あの村上春樹が自分の父親をテーマにしたエッセイを書いている!! これはハルキストなら刮目したのではないだろうか。 ハルキストと名乗るほどではない私でも「これは…」と戸惑ってしまった。 なぜなら村上春樹…

「むらさきのスカートの女」 今村夏子

2019年の芥川賞受賞作。 作者のデビュー作「こちらあみ子」はとても印象に残っている。 とは言っても粗筋なんかはほとんど忘れてしまっている。 それでも、読んでいる時にどんどん“嫌”な気持ちになった、あの感覚だけがずっと尾をひいているのだ。 繰り返し…

「祝祭と予感」 恩田陸

恩田陸の小説はかなり昔に『夜のピクニック』『ネバーランド』『木曜組曲』を読んで以来手にとっていなかった。 なんとなく文章が合わない。 時々出てくるマンガの吹き出しのような表現に興醒めするのだ。 そんなわけで少し前に手にとった『蜜蜂と遠雷』は、…

「この人の閾」 保坂和志

「ものを書く人のかたわらにはいつも猫がいた。」をテーマにした『ネコメンタリー 猫も、杓子も』で保坂和志を見た。 予想通りかなりめんどくさそうなおじさんで、とても好感を抱いた。 私はひねくれものが好きなのだ。 表題作『この人の閾』は1995年上半期…

「夜と霧の隅で」 北杜夫

私の本棚には未読本が積み上がった一画がある。 休みの間に少しでも減らそうと、その中でもかなり古いものを今回手に取った。 初の北杜夫。 芥川賞を受賞した表題作を含めて5作品が収められている。 共通しているのは“死”と“狂気”だろうか。 作者が精神科医…

「荷風追想」 多田蔵人編

4月30日は永井荷風の命日にあたる。 ということを、この本で知った。 そこに合わせたわけではないけれど、偶然読了日が命日に重なったので、少し感想など残しておきたい。 私は作家個人の人柄に触れることの出来るこの追想シリーズ(?)が好きで、先に出て…

「つけびの村」 高橋ユキ

人の噂も七十五日。 これを短いと感じる人は少ないのではないだろうか。 さらに閉鎖されたコミュニティで逃げ場がなければ特に…。 たまにはノンフィクションでも読もうかと手にとった1冊。 内容は2013年に起きた“山口県連続放火殺人事件”を追ったものだ。 …